キャリアコンサルタントに求められる力は、どう変わる?2026年の厚生労働省資料から読み解く
働き方やキャリアのあり方が変わるなか、キャリアコンサルタントに求められる力や役割について、新たな検討が進められています。2026年は、厚生労働省から関連する報告書や計画が相次いで公表されました。
2026年1月 今後キャリアコンサルタントに必要な能力や支援のあり方を整理した研究会報告書
2026年3月 今後5年間の方針を示す「第12次職業能力開発基本計画」
2026年9月 キャリアコンサルタントの能力要件や養成講習の基準について具体的な見直し案を提示
これらの資料からは、キャリアコンサルタントに求められる力として、大きく4つの視点が見えてきます。
① 相談者が自らキャリアを築く力を育てる支援
② 個人への支援に加え、組織や環境にも働きかける
③ 社会や技術の変化を捉え、支援に活かす
④ 資格取得後も、実践を通じて専門性を高める
また、キャリアコンサルタント自身の専門性を高めることに加え、必要な人がキャリア支援を利用しやすい環境を整えることも重要な課題となっています。今回は、調査データや国が示した施策の方向性を交えながら、これから求められる力と役割について考えていきます。
※2026年10月時点の情報です。
なぜ今、求められる力が見直されているのか?

背景には、私たちの「働く」を取り巻く環境の変化があります。AIなどの技術革新によって、仕事に必要な知識やスキルが変わり、働き方やキャリアの選択肢も広がっています。育児や介護と仕事を両立する人、セカンドキャリアや副業を考える人など、価値観や生活スタイルもさまざまです。さらに職業人生が長くなり、一人ひとりが自分のキャリアを考え、必要に応じて学び直しながら選択していくことの重要性も高まっています。
こうした変化を背景に、2026年1月の研究会では、今後のキャリアコンサルティングに必要な能力や、その能力を高めるための取り組み、相談機会の拡充などが整理されました。
これからのキャリアコンサルタントに求められる4つの視点
①相談者が自らキャリアを築く力を育てる支援

キャリア相談では、転職や仕事上の悩みなど、目の前の課題について話すことも少なくありません。もちろん、今抱えている悩みを整理し、解決に向けて一緒に考えることは大切です。一方で、これからは相談者が自分自身のキャリアを主体的に考え選択し、行動していく力を育てることも、より重要になります。
2026年1月の研究会報告書では、目の前の課題解決を支える「解決型」の支援に加え、相談者が将来の目標を自ら設定し、必要な能力開発などに継続的に取り組む力を育てる「開発型」の支援が求められるとされています。
たとえば、転職するかどうかという目の前の選択だけでなく、「自分はこれからどのように働いていきたいのか」「そのために何を身につけていきたいのか」を、相談者自身が考えられるよう支援することです。
目の前の悩みへの支援から、その先のキャリアを自分で築いていく力を育てる支援へ。相談者の主体性を大切にすることが、今後ますます重要になります。
② 個人への支援に加え、組織や環境にも働きかける

相談者の悩みは、本人の考え方だけで解決できるものばかりではありません。たとえば、今後のキャリアについて考えたくても、職場に相談する機会がない、上司に話しにくいといった環境が影響している場合もあります。
そこで重要になるのが、一人ひとりへの支援に加え、組織や環境にも働きかける視点です。企業であれば、人事部門や経営層と連携し、従業員が主体的にキャリアを考えられる環境づくりに関わることも期待されています。また、相談内容によっては、他の専門家と連携しながら支援することも必要です。
相談できる仕組みは、どのくらい広がっている?
2026年7月31日に公表された厚生労働省「令和7年度 能力開発基本調査」では、キャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している事業所の割合は、次のとおりでした。
正社員向け:48.4%
正社員以外向け:30.1%
これは実際に相談を受けた人の割合ではなく、相談の仕組みを導入している事業所の割合です。調査対象は、常用労働者30人以上の事業所です。こうした状況も踏まえ、3月に策定された第12次職業能力開発基本計画では、相談機会を広げるための施策が示されています。
• キャリア形成・リスキリング支援センター等での相談機会の拡充
• 企業におけるセルフ・キャリアドックの導入促進
• 相談の流れやキャリアコンサルタントの知識・経験の見える化
一人ひとりを支えることと、必要な人が相談できる環境を整えること。その両方に目を向けることが、今後のキャリア支援における大切な方向性となっています。
③ 社会や技術の変化を捉え、支援に活かす

「今後、どのような仕事やスキルが求められていくんだろう?」
キャリアについて考えるとき、こうした疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。AIなどの技術革新によって、仕事の内容や必要な知識・技能は変化しています。
キャリアコンサルタントにも、労働市場や職業に関する情報を適切に収集・分析し、相談者の状況に合わせて活用する力が必要です。AIなどのデジタルツールを使う場合も、示された情報が正確で妥当かを見極め、倫理面に配慮することが求められます。さらに、第12次職業能力開発基本計画では、職務やスキル、処遇、能力開発機会などの情報を見える化し、キャリアコンサルタントが支援に活用できる仕組みを構築する方向性も示されています。
大切なのは、情報を集めることだけではありません。社会や仕事の変化を捉え、相談者が自分のキャリアを考え、選択するための支援につなげること。そうした情報活用の力も、これからのキャリアコンサルタントに求められています。
④ 資格取得後も、実践を通じて専門性を高める

資格を取得した後は、どのように実践力を伸ばしていけばよいのでしょうか?
キャリアコンサルティングでは、相談者の状況や悩みが一人ひとり異なります。知識を身につけるだけでなく、実際の相談経験から学び、自分自身の関わり方を振り返ることが大切です。研究会報告書では、能力開発の方法として、次のような実践的な学びが挙げられています。
インターンシップ: 経験豊富なキャリアコンサルタントの指導のもと、実際の相談場面から学ぶ
事例検討会: 相談事例について意見を交わし、支援の方法や視点を広げる
スーパービジョン: 指導者から助言を受け自分の支援を振り返り、専門性を高める
また、第12次職業能力開発基本計画では、活動領域ごとに必要な能力を整理し、実践的な学びの機会を充実させる方向性が示されています。
資格取得は、キャリアコンサルタントとしての学びのゴールではなく、一つのスタートです。自分の活動領域や目指す姿に合わせて、学び続けることが重要になります。
能力要件や養成講習の見直しも検討されている
こうした方向性を具体化するため、キャリアコンサルタントの制度についても検討が進んでいます。2026年9月4日の「第32回キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会」では、能力要件の改定案と、キャリアコンサルタント養成講習の認定審査基準の素案が示されました。改定案では、組織・環境への働きかけの具体化や、職業に関する知識の整理、AIなどのデジタルツールやオンラインによる支援への対応などが検討されています。
ただし、2026年10月時点では検討段階であり、正式に決定・施行された内容ではありません。今回の厚生労働省の動きからは、キャリアコンサルタントの専門性を高めることと、必要な人が相談できる環境を広げていくこと。その両方が重視されていることがわかります。
キャリアドライブが養成講座で大切にしていること

社会や技術が変化しても、目の前の人の話を丁寧に聴き、その人自身が考え、選択していく過程を支えることは、キャリアコンサルティングの大切な役割です。
キャリアドライブでは、資格取得だけをゴールとせず、その先で「相談してよかった」と思ってもらえるキャリアコンサルタントの育成を目指し、カリキュラムやサポート体制を整えています。
講座ではロールプレイや演習を取り入れ、キャリア支援の第一線で活躍する講師・TAが、受講生2〜3名に対して1名つき、一人ひとりの課題に合わせたフィードバックやサポートを行っています。
「できた・できなかった」だけでなく、自分の関わり方を振り返り、次に活かす。
こうした学びの積み重ねを通じて、知識を実際の相談の場で活かせる力へとつなげていきます。

参考資料
厚生労働省
「経済社会情勢の変化に対応したキャリアコンサルティングの実現に関する研究会報告書」(2026年1月)
「第12次職業能力開発基本計画」(2026年3月31日)
「令和7年度 能力開発基本調査」(2026年7月31日)
「第32回キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会」(2026年9月4日)
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